情報教育

欧米を中心に 20 世紀中盤電子式のコンピュータが発明され、科学技術の進歩とともに 1980 年代のマイクロプロセッサの発明により、やがて個人が簡単に利用できるパーソナルコンピュータ、パソコンやタブレット端末、スマートフォン(スマホ)へと発展してきました。また、コンピュータ技術と並行して、研究開発がすすめられたデジタル情報通信技術は、21世紀、コンピュータとつながることによってインターネットとして花咲きました。今や、インターネットは生活基盤の一部としてパワーを持ち、社会生活においてなくてはならない存在となっています。生活の道具として、すべての人がスマートフォンやタブレット端末、パソコンを用いてつながりを共有し日々の暮らしに生かしています。

すべての情報がデジタル化される情報社会では、コンピュータの計算能力、記憶能力の向上がこれまで処理することができなかった膨大なデータの処理を可能にしています。そして、それが高速のインターネットを通して全世界と共有することにより、社会のグローバル化を推し進めています。

まさに人類は、生活の新しいフェーズに突入したということができるでしょう。しかし、このことが私たちの生活を豊かにする反面、これまで経験してこなかった様々な課題を私たちに突き付けています。

生まれた時から、スマホやパソコン、インターネットが存在するデジタルネーティブと呼ばれる若者が中心となる社会において、モバイル機器の操作にはたけているが、コンピュータの内部機構やデジタルデータに対する関心や知識がなければ、本当の意味で問題の解決に至ることはできません。情報社会に生きる人間は、日々新しくなる情報機器の使用にたけるだけではなく、コンピュータやデジタル情報の本質を理解し、デジタル情報が作り出すほんとや嘘、インターネット空間で行われている争いなどにどのように対応していくか、考え、行動することが求められます。

そのためには、生活の道具、思考の道具としてなくてはならない存在となったスマホやパソコンが、情報をどのように取り扱うか、また、スマホやパソコンがつながるインターネットがどのように情報を取り扱っているのか、正しい知識を身につけるとともに、その知識をもとに情報を客観的にとらえる実践力を持つことです。

技術の変化は激しく、日々の技術革新が私たちの生活を大きく変えます。特に、情報機器は、短時間に機能を高め、私たちはそのことについていくことすら難しくなっています。そのため、情報機器の操作を含め情報教育がますます重要な位置を占めるようになりました。

人々の今日的な問題を解決するために必要なものが、正しい知識や技術であり、そのことを身につける手段が教育と考えられます。2020年からは小学校教育においてプログラミングが必修化されます。この狙いは、これからの社会で必要とされるイノベーションを起こしうる人材の育成にあるとされています。しかし、ほんとに必要なことは、明日を生きる人々が、生活の中心にあるコンピュータ、デジタルデータというものを学ぶことにより、デジタル社会を持続的に発展させるためにはどのようにすればいいのか知恵を生み出すことにあります。

コンピュータはすべての分野をカバーするようになりました。そのようなコンピュータを自律的に、新しいつながりの中で賢く使うことにより創造的に暮らしを作ることができる能力を身につけることができるように情報教育に取り組んでいます。

asakimor@kobe-wu.ac.jp
Last Updated at 2020.4.12