教育活動

コンピュータの教育を中心に情報基礎教育を担当しています。現在、心理学部心理学科の共通教養科目「情報A」、「情報C」、専門科目「プログラミング」、「ITビジネス」、健康福祉学部健康スポーツ栄養学科の専門科目「パソコン操作とスポーツ栄養学のデータ処理の基礎技術」を担当しています。

コンピュータは人類最大の発明と言われています。コンピュータとデジタル通信が融合したインターネットの出現に社会は大きく変化してきました。

2010年代初期に登場したスマートフォン(スマホ)は、電話( Phone )の使いやすさとコンピュータの賢さ( smart )を兼ね備えた機器として、小さな子どもからお年寄りまでほとんどの国民が持つまでに至っています。

今では、スマートフォン、インターネットなしに生活や社会を語ることはできません。また、近い将来実現すると考えられているデータ駆動型社会では、すべての機器がネットに接続するとともに、サイバー空間と現実の空間が融合した新しい空間が生まれると言われています。

そのようなことを背景に、教育においてもコンピュータやネットの活用をとおして学習者自らが創造的な学びを実践する改革が求められています。

担当する授業では、これからの社会をリードして行くにふさわしいコンピュータやネットに対する知識や技術を持った人材育成を目標の一つとしています。

さまざまな調査から、我が国の若者は先進国の中でパソコンの保有率やパソコンの利用技術が低いとされています。小学校からすべての子供たちが一人一台タブレットやパソコンを持ち、学習を行うGIGAスクール構想が始まっています。しかし、大学に入学する多くの学生は、スマホは触ることができてもパソコンを使うことを苦手としています。

その原因の一つは、私たちの文化が欧米のキーボードを使う文化と異なるところにあります。しかし、賢くコンピュータを使うことができないならば目まぐるしく変化する現代社会において創造的な活動をすることは叶いません。そこで、授業では、適正にコンピュータ利用する能力の育成、コンピュータを創造性を持った実践的な活動に利用することを中心に進めています。

授業では、多くの研究者が指摘しているように「学習者が自らのペースで学習することが最も学習効果が高い」という研究成果を踏まえ、学習マネージメントシステム Moodle を利用しています。

学習者は、インターネットを通していつでも、どこからでもMoodleにアクセスすることができ、Moodleの学習教材を自由に使うことができます。好きな時にテキストを読み、練習問題をダウンロードし、宿題をアップロードします。学校の教室という制限された空間を離れて、自律的に学習することができる能力は、コロナ後の社会では必須の条件です。今必要とされている能力を身につけるという意味においてもオンライン学習は重要な役割を果たしています。

授業において、学習成果を上げるためには学習者自らが学習の進捗に応じて自分の力を把握することが重要です。そのため、授業では、その日の授業を通して学んだことへの振り返りやポイント疑問点などをネットを利用して入力してもらっています。

提出された内容は、分かりやすくまとめて、次回の授業のはじめにフィードバックし疑問点や質問に回答しています。このことを通して学習者は他の学習者がどのように学んでいるか知ることができます。それが、学習への動機づけにもつながっています。また、提出された振り返りには得点評価を行い成績に加味しています。

振り返りの効果を調べたものが左の図です。この図は、ある授業における、振り返りの得点と最終試験の得点との相関をとったものです。振り返りの成績を比較することにより調べています。その一例が、図に示したものです。振り返りと成績の間にはいい正の相関が見て取れます。この結果は、学習者にフィードバックしより学習効果を得るための学習方法の参考にしてもらっています。

情報A

BYOD(Bring Your Own Device)となっている自らのパソコンを使用し、一人でも「パソコンの出来ない若者」を減らすため「タッチタイピング」の育成からはじめ、OS の基本操作、パソコンのカスタマイズ、フリーソフトの利用、コミュニケーションツールとしての電子メール、ワープロや表計算ソフトを利用した資料作りなどを学習します。

特に、心理学科の学生は専門科目の授業の中で自らのパソコンを使いデータ分析を学びます。そのため、この授業でパソコンを使えるようになることがとても重要になってきます。

日々複雑になるパソコンを納得して利用できるためには、自分事として「すとん」と学習者のうちに入ってくるパソコンの本質を知るように工夫を行っています。

情報C

1年前期に開講される「情報A」の授業に続き、情報 C では、コミュニケーションに焦点をあてパソコンを使ったプレゼンテーションの方法、コミュニケーション媒体の変遷、電子メールとSNSの本質的な違い、ネット社会で重要な「情報セキュリティー」や「情報倫理」、「個人情報」や「知的財産権」、ネット犯罪などについて学びます。

学びには、グループでの意見交換の場を積極的に取り入れ、他者の考えを知り、他者との相互作用を通して成長するように工夫をしています。

情報社会にふさわしい市民として、人を思いやり、人を大切にするコミュニケーションやマナーを実践できるよう、情報機器を通した社会とのつながりについて学びを深めます。



プログラミング

人工知能(AI)が生活のさまざまな場面で利用されるなかプログラミングの知識や技術の重要性が指摘されています。

この科目では、プログラミングソフト Python を自らのパソコンにインストールするとともに、それを使って Python の基礎を学びます。学びは、乱数を使った身近なゲームを題材として、データの記憶や演算、プログラミングの基本構造を理解するところから始めます。

次に、プログラミングの基本を理解した上で、Pythonのライブラリを利用して心理学分野の仕事で必要なデータの統計分析を体験します。Pythonの基礎、ライブラリの利用を体験することにより、授業受講後は、心理分野でも利用が始まっている AI などの機械学習にも迫って行くことを目指します。

パソコン操作とスポーツ栄養学のデータ処理の基礎技術

健康スポーツ栄養学科では、運動や栄養を通して健康に生きることを主題にして学びを深めています。そのため、健康スポーツ栄養学科では栄養や運動などのデータを中心にデータに基づく課題解決能力の育成が求められます。

この科目では、前期「情報A」の授業で学んだ、パソコンの基礎を一歩前進しパソコンが使えるようになるところから始めます。そして、調査や実験などから得られるデータについて考察を加え、スプレッドシートを使った簡単なデータ処理、栄養計算を体験します。また、データサイエンスの分野で利用されているRを使った簡単なプログラミングやデータの統計処理を学び、専門教育や研究などで要求されるパソコンの利用技術を身につけます。