ナムディンはハノイから南東方向に 90Km ほどのところにあります。ハノイからは車で 2 時間ほど、訪問したときには、6日に中国海南島に上陸し、7日にはベトナムに上陸したスーパー台風11号によりハノイでは強風の影響で至る所で街路樹が風でなぎ倒されたりしていました。また、水に浸かった地域も多かったようで復旧作業も行われていました。しかし、幸いなことに大きな被害が出ることはありませんでした。
今回、ベトナムを訪れた目的は、ベトナム初のナムディン省立ナムディン農業高校の入学式に参列することでした。
ベトナムには、日本にある工業高校や農業高校などの職業高校はこれまでありませんでした。そこで、現地でナムディン日本語日本文化学院を開いている LOI 学院長とベトナムを支援する日本の方々が、ベトナムの子供たちの将来への選択肢を広げるため、ナムディン省やベトナム政府と交渉し 2021 年にナムディン農業高校は開校されました。
この学校は、日本の農業高校をモデルにベトナムの基幹産業である農業に関わる若者を育てることを目的としています。また、日本とベトナムの友好発展を目指して第一外国語に日本語を取り入れています。ベトナムの農業農村開発省や教育訓練省も農業高校の成功に大きな期待を寄せており 9 月の入学式には大臣が直接参加されてきました。しかし、今回は台風被害の対応に忙しく残念ながら政府やナムディン省の方々は入学式に参列することができませんでした。
この学校では、従来のベトナムでの教育のほかに、農業実習などを通して子供たちが自主的に学び、問題解決を図るような新しい教育の導入に取り組もうとしています。そのため、若い先生方が中心となって子供たちの創造性をはぐくむカリキュラムの開発や導入が検討されています。
農業はICTを活用したスマート農業に向かって進んでいます。そのため、教育課程にICT教育の導入が望まれています。ナムディン農業高校でもこれからの農業につながるようなIT教育の導入ができないか模索が始まっています。そのことを背景にICT教育の導入に支援をしてくれないかと相談を受けました。
そこで、今回ベトナムを訪問することで現地の設備やコンピュータ教育の実施状況を視察するとともに若い教員のみなさんと情報交換し、子供たちが伸びるICT教育の導入に向けて教科書の作成や教授法の開発に協力してあたることを確認してきました。
世界の多くの若者と同じように、ほとんどすべての生徒はスマートフォンを持ち日常生活の中で使用しています。しかし、パソコンを仕事になかで使うための能力を持つには至っていません。先生方への支援を通して、一人でも多くの生徒がパソコンを使い創造的な仕事ができるようになることを願っています。