専門は物理学、山形大学理学部物理学科を卒業後神戸大学大学院理学研究科物理学専攻、神戸大学自然科学研究科物質科学専攻において宇宙線空気シャワーの観測実験に従事しました。神戸大学では、神戸大学空気シャワー観測装置の建設に参加するとともに、観測データから、空気シャワーの入射方向や中心の位置、シャワーサイズ、空気シャワーの横広がり構造など解析する最適化問題としてのデータ解析プロクラムを開発しました。
この装置を使用した空気シャワー観測データから空気シャワー電子成分について、シャワーの横分布から空気シャワーの発達が入射宇宙線のエネルギーとともにどのように変化しているか、シャワー粒子が観測装置内で起こす遷移効果、空気シャワーサイズスペクトルを通して1次宇宙線のエネルギースペクトルについて解析を行いました。空気シャワーの構造変化から1次宇宙線の元素組成がどのように変化するかなどの研究にあたりました。その成果は学術雑誌に発表されています。
その後、研究経験をもとに日本、米国、ポーランドの宇宙線研究者による国際共同研究 JACEE(Japanese American Cooperative Emulsion Experiment)に参加し、NASA マーシャル・フライト・センターにおいて、1次宇宙線がエマルションチェンバーの中で起こす核衝突やそれから発生するカスケードシャワーの計算機シミュレーションの研究に従事しました。JACEE共同実験は、原子核乾板を用いた宇宙線直接観測において最高エネルギーを達成するとともに、1次宇宙線の陽子、ヘリウム、ヘリウムより重い原子成分のエネルギースペクトルを求めることができました。
1988年、神戸市中央区にありました行吉学園神戸女子短期大学に講師として着任し、情報処理教育に参加しました。着任当時は、NECのパソコンが普及し始めたころでもあり、PC9800を使用しBASIC を使ったプログラミング教育やワープロソフト一太郎による文書処理教育が中心でした。また、同時に初等教育科の理科教育を担当しました。
21世紀に入り急速にIT(Information Technology)やICT(Information and Communication Technology)が生活に入り込んでくるなか、ITやICTを積極的に教育に取り込むことによってより学習成果の得られる授業づくりに力を入れてきました。具体的には、自前のウェブサーバを利用して、簡単なLearning Management System(LMS)を構築し、テキストをオンライン化するとともに資料のダウンロード、課題の提出(ファイルのアップロード)、電子掲示板を利用したコミュニケーションの場などを授業に取り入れました。
そして、それらの経験をもとに世界標準となっているLMS、Moodleを授業に導入しました。コロナ禍においても、それまでに培った自学自習システムの構築やブレンディング教育の実践が役に立ち、比較的大きな影響もなく遠隔授業をやり遂げることができました。遠隔学習教材の研究や開発・整備は、持続的な社会を構築するために必要な教育格差の解消、SDGs に一役買うものであると信じ継続しています。
2023年からは、神戸女子大学心理学部心理学科の特任教授として、情報基礎教育ならびにPythonを使ったプログラミング教育、学生のデータ分析力の向上に向けた取り組みを行っています。