目的

　 宇宙の諸階層において高エネルギー粒子線が大変重要な役割を果たしている ことが最近の宇宙物理的観測から分かってきています。高エネルギー宇宙粒子線の起 源の問題は長年にわたり宇宙線物理学とそれに関係する分野の研究者にとって の解決すべき課題であり。最近の理論・観測両研究はその解決に向けて大きく 動き出しているように見受けられます。特に、高エネルギー宇宙線の重粒子エネ ルギー・スペクトルならびに元素組成の観測は星の終状態との関連において興 味が持たれています。このような、状況に中、長年の課題の解決に向けて、現在 の理論的研究および実験的研究から得られている成果を持ち寄り、今後この分 野における研究の方向性を探ることを目的にこの研究会を開催するものであり ます。

プログラム

　　日　時：　平成１０年３月２３日（月）　10:00 -17:30
　　場　所：　KEK田無分室　第二会議室
　　主　催：　東京大学宇宙線研究所
　　世話人：　浅木森和夫（神戸女子短大）、市村雅一（弘前大）、湯田利典（宇宙線研）

午前のセッション（10:00-12:30）（司会、進行：浅木森和夫）

梶野敏貴　（天文台）　　30分：「初期宇宙・初期銀河での元素合成と宇宙線」
和南城伸也（天文台）　　30分：「新星、超新星での放射性元素合成」
中村敬喜　（東大理）　　30分：「Nucleosynthesis in type II supernova and
　　　　　　　　　　　　　　　　abundances in metal poor stars」
内藤統也　（東大理）　　30分：「超新星残骸での粒子加速」
木舟正　　（宇宙線研）　30分：「銀河系外の宇宙線／非熱的現象とガンマ線観測」

　　昼食　12:30-13:30

午後のセッション（13:30-17:30）（司会、進行：市村雅一）

山田嘉彦　（茨城大理）　20分：「低エネルギー宇宙線同位体組成と宇宙線太陽変調現象」
倉又秀一　（弘前大理工）20分：「散乱を考慮した宇宙線の伝播モデル」
晴山慎　　（青山大理工）30分：「最近の RUNJOB 観測結果」
富永孝宏　（広島大理）　30分：「The explanation of the presented results on high
　　　　　　　　　　　　　　　　energy cosmic ray composition from JACEE experiments」
大内達美　（宇宙線研）　30分：「チベットASγ実験」
三井唯夫　（神戸大理）　30分：「反陽子宇宙線と３次元伝播モデル」

　　休憩 16:10 - 16:20

田村忠久　（神奈川大）　20分：「BETS による電子観測」
小林正　　（青山学院大）20分：「エマルションチェンバーによる高エネルギー
　　　　　　　　　　　　　　　　一次電子の観測」
鳥居祥二　（神奈川大）　30分：「スペースステーションによる宇宙線観測計画」

研究会当日は全国から 50 名以上の研究者の方々にお集まりいただき活発な発表，討論を いただきました。この研究会での内容は ICRR報告-118-98-1「高エネルギー宇宙線の直接観測 と宇宙線元素起源」東京大学宇宙線研究所 1998 年 8　月に詳しく報告されています。