入射宇宙線のエネルギーが十分に高い場合には、チェンバー内での衝突により 発生する2次粒子のエネルギーも十分高く、2次粒子より生成される光子の エネルギーも高いために、カロリーメータ層で発生する電磁カスケード・シャワー も大きなエネルギーを持ちます。エネルギーが 300 GeV 以上になると、電磁カス ケード・シャワーは X - ray films の上に肉眼でも判別できる dark spot を 残します。その X-線 フィルムに残された黒いスポットを肉眼で観測することに よって容易にイベントを検出することができます。
イベントが見つかるとカロリーメータ各層での、原子核乾板に写ったカスケー ド・シャワーの電子数、X-線フィルムの黒化度を測定し深さとともにそれらが どのように変化するか(遷移曲線)を求めることができます。測定された遷移曲線 より、シャワー・マキシマムでの電子数 Nemax、最大黒化度 Dmax を求めると、こ れらの量は、これらを作り出した電磁カスケード・シャワーの親のエネルギーに 関係するために、これを通して1次宇宙線の起こした原子核衝突により光子に 行ったエネルギー( Σ E γ )を求めることができます。初期の解析 では原子核乾板を用いた電子数計測により Σ E γ を求めていましたが、 最近の実験では Dmax より Σ E γを求めています。
このようにして求めたエネルギーの精度は、実際のチェンバーの幾何学的配置 を考慮したモンテカルロ・シミュレーションにより推定されています。